こんにちは、てもきちです。
最近、また刺激を受ける本を読んだので、紹介したいと思います。
その本は、
『次の時代を先に生きる』 髙坂勝著
です。
この本は、先日紹介した『減速して自由に生きる』の著者である髙坂勝さんの2冊目の本です。
この本は簡単に言うと、
現代には問題がいくつもあるから、国頼みではなく、自立して生きよう。
田舎で、家、食べ物、燃料を自給することが安心に繋がるし、幸せだよ。
という内容です。
この本の中で、僕が響いたフレーズがあります。
「The消費者」から抜け出そう。幸福感が増すから。
なんかかっこよくないですか?
なぜ響いたかというと、僕の思っていたことがこの一言に集約されていたからです。
現代では、生活するために仕事をしてお金を稼ぎます。
そのお金で生活に関する物やサービスを購入します。
でも、いざ災害が起きたとき、お金がいくらあっても意味がありません。
流通の途絶えた場所では、お金より目の前の食糧の方が重要です。
大金を積んでも、その食糧を渡してもらえないでしょう。
それなら、日ごろから自給を意識して生活し、お金以外の割合を増やしていきたいと思っていました。
では、お金以外の割合が何かというと、住、食、燃料、ナリワイの自給です。
それに、日ごろから助け合える仲間です。
困ったときはお互い様、の気持ちで日々を過ごしていれば、いざ困ったときには助け合えると思います。
どこかで聞いた言葉ですが(この本にも書いてあったかも)、これからは、
「円」を増やすより、「縁」を増やす。
良い言葉ですよね。まさにこれだな、って思います。
この気持ちで生きていきたいと思います。
それでは、本の内容に触れながら、なぜこれらのことが大事なのか、僕の感じたことを含めながら書いていきます。
現代は問題だらけ

髙坂さんは、政党の共同代表をしていたからか、社会問題に関心があるからか、世の中の問題をよく知っていて、この本でたくさん教えてくれています。
例えば、これ。
企業の内部留保はアベノミクス前の273兆円から4年間で378兆円へ100兆円以上も増えた。100兆円といえば、国の1年の一般会計の額に等しい。一方、従業員給与総額はアベノミクス前の28.77兆円から28.01兆円へと7600億円減った。企業が儲けても、働く人の給料に落とさないという現実。
ネットで調べてみたら、アベノミクス以後、大企業の内部留保が約2倍になっているそうで、企業がもうけを従業員や社会に還元していない状況となっています。
法人税も中小企業より大企業の方が負担割合が低いようで、大企業優遇の税政となっています。
また、
20年くらい前までは、先進国は途上国から富を吸い上げていた。これがいわゆる 「南北格差」。20年前くらいからグローバル化が加速度的に進んだ。先進国の企業は、 世界中の企業と争わねばならなくなった。だから安い人件費の途上国へ生産地を移した。すると先進国の中で働いていた人は、海外の安い人件費に引きずられて賃金が下がるか、仕事そのものがなくなる。
途上国では、先進国の企業の進出で一時的には仕事が増えるが、劣悪な働かせ方なため、労働者が雇用改善やよりましな給与を求めることになる。結果、企業はもっと安い人件費を求めて、違う国に出て行ってしまう。こうして、先進国でも途上国でも人件費引き下げ競争になってゆくのだ。生き残った企業は人件費が下がった分、競争力を増し、利益が出て、内部留保する。こう書くと、企業が悪者のように聞こえるだろうが、そうとも言い切れない。企業は企業で、グローバル経済を生き抜くために、 他社に負けられない。世界の市場が大きくなってゆくのであれば、どの企業も拡大できる可能性があるし、新しい企業が参入できる余地も生まれる。けれど、世界の市場が飽和している中では、他社からパイを奪うか奪われるかの苛烈なサバイバル競争。
人件費を上げるなどの余裕はない。いつか来るビンチのために内部留保を溜め込むことになる。
(中略)
人件費を下げて企業は利益を上げる。売上拡大が難しい中、たどり着く帰結。
とも言っています。言われてみればそうだな、と思いました。
また、髙坂さんは、
GDPが増えても幸せは増えない調査結果がでている。それなのに政府は成長を目標にする。国民に不幸になれと言うのか。
世の中の富には限りがある。お金も無限に増えるわけではない。富む者がいれば貧しくなる者がいる。
といったことも、この本で書かれています。
「南北格差」は今でも感じることはあります。
例えば、コーヒーやチョコレートなどが日本で安く手に入るということは、アフリカや南米などでその原料を生産するために低賃金で働く人がいるということです。
世の中の人は、気軽にチェーン店でコーヒーを買ったり、チョコレートに親しんだりしていますが、それは途上国で低賃金で働く人がいる上で成り立っているということを知る必要があります。
加工食品に使われているパーム油も同じです。
パーム油の生産のために、森林破壊や劣悪な環境下で働く人がいるなど、問題が含まれています。
ちなみにパーム油はチョコレートにも使用されています。
ただ何気なく生活していても、気付かないうちに搾取するうちの一人として加担していることがあるということです。
これを「構造的暴力」というそうです。
先に例で挙げたコーヒーやチョコレートは、フェアトレードという仕組みで取引されている商品があります。それを購入することで現地の人からの搾取に加担しないことになるので、利用するのは一つの手です。
賃金については、今は国が最低賃金を上げてきているために、労働者の賃金は上昇しているように見えますが、物価高が著しいため、実質的な賃金は低下しています。
人口減少により労働者が減っていく中、経済成長を前提として世の中を考えるのは限界にきていると思います。
今こそ現実を見て、成長ではなく、維持または縮小を考える時期なのだと思います。
どう生きていけばよいのか

それでは、問題だらけの世の中をどう生きていくのがよいのか。
そこが知りたいですよね。
それが、冒頭にお伝えした、住、食、燃料の自給です。
住の自給
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まずは、住の自給についてです。
多くの人が住む東京で新築戸建てを購入する場合、2025年4月時点で約6045万円だそうです。
もし、田舎で中古の戸建てを購入するなら、物件に求める条件にもよりますが、1000万円以下で購入できる物件はたくさんあります。
もちろん、東京と田舎では生活環境が大きく違うので、「田舎では自分のやりたいことが実現できない!」という人は田舎に住むのは難しいですが、住む場所を移れる人、特に仕事がリモートワークや自営業でどこでも可能という人なら、田舎に住むことで住にかかる費用を大幅に抑えることができます。
賃貸でも、平成30年の調査で、都心では月に平均で約81,000円だそうです。
田舎なら、家を維持してくれるならタダで貸すよ、なんてこともあるそうなので、大幅に住にかかる費用を抑えられます。
ただ、田舎の物件は都心で借りる物件より状態が悪いことが多いと思われます。そこの修繕は自費の場合もあり、その場合は必ずしも費用が大幅減とはならないかもしれません。
そこで、その修繕を自分でやってしまえば、費用は安く済むし自分のスキルアップにもなるので、更なる自給力の向上もできてしまうということになります。
また、田舎では、自分で家を建ててしまうというスーパーマンが何人もいます。
僕が知っているだけでも、その地域周辺で5~6人はいます。
なので、全国では数えきれないほどの自宅建築者がいると思います。
自分で家を建てるにはとてつもなく時間がかかるので、仕事をしながら建てるのは難しいと思いますが、例えば戸建てを3000万円で業者に依頼して建てるのか、1000万円で自分で建てるのかでは、差の2000万円分はお金を得るために仕事をしなくてよくなるので、「自分で建てたい!」という方は一考の価値ありと思います。
建てた暁には、とてつもない住の自給力がついていることでしょうし、壊れても自分で建てたのだから修理もできてしまうので、その先の生活コストも下がることが見込まれます。
食の自給
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次に食の自給についてです。
食の自給は、イメージしやすいのではないでしょうか。
そう、畑や田んぼを自分でやって、野菜や米を自給することです。
自分で野菜を栽培すれば、無農薬で作ることもでき、安心安全な食事をとることができます。
現在は、令和の米騒動と言われるほどの米価の高騰が起きています。
今年の新米も価格が高いそうです。
また、世界では戦争が行われていて、輸入が途絶える可能性がないわけではありません。
実際、コロナが広まり始めた2020年に、移動制限で「ステイホーム」を呼びかけられ各分野で仕事が進まない期間があり、その間に輸入が減少した記憶があります。
日本の食糧自給率は40%を切っているため、輸入が途絶えてしまうと、日本に住む人の食糧は足りなくなってしまいます。
幸い、当時はその影響がそれほど長引くことはなかったので大丈夫でしたが、今後輸入が途絶えたとしたら、食糧の価格は跳ね上がり、高所得者しか購入できない、といった事態になる可能性もあります。
究極には、お金を出しても買えないという事態もあり得ます。
そのため、食糧の自給が重要だということです。
僕は、国の安全保障でも、食糧自給率を高めることは非常に重要と考えています。
今は国防費をどんどん増やして、戦闘機やミサイルの配備に力を入れているようですが、そもそも食糧がないと生きていけません。
戦では昔から「兵糧攻め」という戦法があるように、肝心の食糧がなければ兵士を維持できず、いくら武装しても何もできないことになります。
国は残念ながら、食糧自給率を上げることに本気で取り組んでいないので、自分たちでやれることをやっていくしかありません。
幸い、2023年4月に農地法が改正され、農地を購入しやすくなりました。
以前は農地の取得の際に、基本的には最低5反(5000㎡)以上を所有していないと農地の購入ができませんでしたが、今はその面積要件は撤廃されました。
これにより、自給のために農業をやる人が、農地を手に入れやすくなりました。
田舎では、農地を借りることもできるとは思いますが、自然農などをして土が良くなると「農地を返してくれ」と言われるケースもあるようなので、僕は購入するのもありだと思っています。
燃料の自給
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続いて、燃料の自給についてです。
現代の生活では、電気、ガスを活用して生活しています。
それも自給してしまおう、というわけです。
「どうやるの?」
って思いますよね。特にガスなんて。
ちゃんと自給できる方法はあります。
電気は、太陽光発電や小水力発電など、自宅近くで発電すれば、送電ロスもなく使用できます。
今は蓄電池も多くの種類が発売されているので、オフグリッドも夢ではありません。
(オフグリッドとは、電力会社から供給される電気を引かず、自給することです。水やガスにも当てはまります。)
ガスは、なかなか自給はできません。
(糞尿から発生するメタンガスを使用している人はいますが、まだ難しい気がします。)
ガスを使う目的は、火をおこすためです。
それなら、薪で火をおこせばいいわけです。
今の時代は薪ストーブがあるので、薪ストーブで調理や暖を取ればいいわけです。
太陽光パネルを置くにも土地が必要なので、土地代の安い田舎がベストです。
小水力発電をするにも、自宅の敷地内に小川が流れていたらベストです。
当然市街地にはそんな土地はないので、田舎がベストということになります。
薪を調達するためにも、山のある田舎に住むことが一番近道です。
なぜ燃料も自給した方がよいのかというと、電気やガスに頼る生活の問題点があるからです。
例えば、電気は、原発で作られた電気が含まれています。
僕は、福島の事故でもわかったように、原発は人間が活用できるものではないと思っているので、少しでも早く国が脱原発に舵を切ってくれたらと思っています。
また、石油、石炭、天然ガスは、ほぼすべてを輸入に頼っている状況です。
これも食糧と同じで、輸入が途絶えた途端に使用できなくなります。
とは言え、太陽光発電にはパネルの廃棄の問題、小水力発電には河川法が関係して手続きが必要になる、生態系への影響を考える必要があるなど、再生可能エネルギーと言われる方法にも問題がないわけではありませんが、上手く活用したいですね。
電気やガスが無くなったら、現代の人は生きていけないと言っても過言ではないですよね。
だから、燃料の自給も重要になってくるわけです。
ナリワイの自給
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最後に、ナリワイの自給についてです。
ナリワイとは、雇われる働き方ではなく、自営業として「自分が楽しみ、人が喜び、世の中を良くする」働き方。
自分のライフスタイルに合う収入を得られる程度の、小さなナリワイ。
なぜ小さなナリワイが良いかというと、今の世の中が良くないことを憂いていて、「原因がグローバル化と拡大増殖化なのだから、問題解決には逆を行けばいい」と髙坂さんは言っています。
というのは、昔は個人商店が至るところにありましたが、今は大型スーパーが地方に進出し、時代とともに無くなってしまいました。
個人商店があった時代は、その売り上げは地域に還元され、地域の中でお金が循環していましたが、大企業の店舗では、売り上げの一部は都市部や海外へ吸い上げられ、地域に還元されません。
「本社がある都市に売上も利益も税金も集中し、地方と都市の差がますます広がってゆく」構造になってしまっています。
髙坂さんは「空白となった町や村に懐かしくも新しいナリワイを興してゆける隙間やニーズが生まれてきていることは間違いない」と言い、ナリワイの見つけ方を7つも紹介してくれています。
そして、無理に稼がなくていいのが髙坂さんの言うナリワイです。
なぜそうできるかというと、
自分の生活が満たされる収入を得られるだけ働く。
からです。
そのためには、まず、自分の生活にかかる支出を計算します。
そこで、例えば月20万円必要となったならば、その額を得られるように働きます。
もし月25万円稼げるようになってしまったら、働き方を見直します。
簡単な方法としては、休みを増やしたり、営業時間を短縮したりして調整します。
ここが画期的ですよね。僕はこの考え方に凄く惹かれました。
拡大増殖化を考えてしまうと際限がなくなり、心身ともに余裕がなくなりますからね。
それに、一定以上の収入を得られていれば、それ以上多く稼いでも幸福度はそれほど上がらないという研究結果があるそうです。
なので、お金を得るために働くのではなく、自分のやりたいことをやるために時間を使うことで、より幸せになれるってことだと思います。
と言っても、「自分が楽しみ、人が喜び、世の中を良くする」働き方なら、楽しくて仕方ないと言ってずっと働いてしまう人もいるかもしれませんね。
まとめ
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様々な面で自給ができれば、つまり「The 消費者」から抜け出せば、世の中の変動に影響されることなく、安定した生活を送ることができます。
僕も自給ができるようにスキルアップしていきたいと思います。
この本には、ここで紹介した以外にも世の中の問題点を多く書いてありますし、解決方法も書いてあります。
世の中に疑問や不安を抱いている方は、ぜひ読んでもらいたいと思います。
なんだか世の中に対してもやもやしている、というだけでもいいんです。
この本を読んだら、なにか心に触れるものがあると思います。
そして、自分にできることを始めていってほしいと思います。
ひとりひとりは小さな力だとしても、少しでも多くの人が気付いて行動していけば、世の中は良くなっていくと思っています。
最後に、世の中お金が一番重要なのではない、ということを語っているスティーブ・ジョブズの最期の言葉が書いてありましたので、紹介します。
私は、ビジネスの世界で、成功の頂点に君臨した。
他の人の目には、私の人生は、
成功の典型的な縮図に見えるだろう。しかし、仕事をのぞくと、喜びが少ない人生だった。
人生の終わりには、富など、私が積み上げてきた
人生の単なる事実でしかない。病気でベッドに寝ていると、人生が走馬灯のように思い出される。
私がずっとプライドを持ってやっていたこと、
認証(認められること)や富は、迫る死を目の前にして
色あせていき、何も意味をなさなくなっている。この暗闇の中で、生命維持装置の
グリーンのライトが点滅するのを見つめ、
機械的な音が耳に聞こえてくる。
紙の息を感じる。市がだんだんと近づいている……。今やっと理解したことがある。
人生において十分にやっていけるだけの
富を積み上げた後は、富とは関係のない
他のことを追い求めた方が良い。もっと大切な何か他のこと。
それは人間関係や、芸術や、
または若い頃からの夢かもしれない。終わりを知らない富の追求は、
人を歪ませてしまう。私のようにね。神は、誰もの心の中に、
富によってもたらされた幻想ではなく、
愛を感じさせるための「感覚」
というものを与えてくださった。私が勝ち得た富は、(私が死ぬ時に)
一緒に持っていけるものではない。私が持っていけるのは、愛情に溢れた思い出だけだ。
ハッ…と思わされました。
自分の人生や世の中を少しでも良くしたいと思える1冊なので、みなさんもぜひ読んでみてください。
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